近年、定年退職後の人生をより豊かにするため、副業を始めるシニアが増えています。例えば、DLRI（ダイキン工業株式会社労働研究所）の報告によれば、シニア層の副業への関心が高まっていることが示されています。退職後の生活は、新たな活動を通じて社会と関わり続ける機会と捉えられています。本記事では、シニアの方々が無理なく続けられる副業を紹介し、その強みをどのように活用できるかを探ります。
目次
背景
日本における高齢化社会の進展とともに、退職後も社会に貢献しつつ収入を得る方法を模索する人々が増えています。内閣府の「高齢社会白書」（令和5年版）によると、65歳以上の就業者数は過去最高の909万人に達し、就業率も25.1%と上昇傾向にあります[1]。
また、総務省の「家計調査」（2023年）によれば、高齢者世帯の平均月間収入は約22万円で、そのうち公的年金が約16万円を占めています[2]。年金だけでは生活が困難な場合もあることから、副業は重要な収入源となっています。
さらに、株式会社マイナビが実施した「ミドルシニア／シニア層のアルバイト調査（2023年）」では、70歳を超えても働きたい人の割合が前年比で増加し、15.5%に達したことが報告されています[3]。
シニアにおすすめの副業
オンライン講師
シニア世代が持つ知識と経験を活かしたオンライン講師は、選択肢の一つとして注目されています。例えば、オンライン教育プラットフォームのUdemyでは、シニア講師が専門知識を活かして講座を提供し、成功を収めている事例があります。
実際に、70歳のプログラミング講師が100万ドル以上の収益を上げた事例や、65歳の元大学教授が語学講座で年間5万ドルを稼いでいる例が報告されています[4]。
オンラインプラットフォームを利用することで、自宅にいながら全国どこからでも講座を開くことができるため、体力的な負担も少なく済みます。また、時間や場所の制約が少ないため、柔軟なスケジュール管理が可能です。
ブログやコラム執筆
文章を書くことが得意であれば、自分の経験をブログやコラムとして発信するのも良い選択です。例えば、趣味や旅行、生活の知恵といったテーマは、多くの読者にとって興味深いものとなります。
シニアブロガーの成功例として、70代の女性が始めた料理ブログが月間100万PVを超え、広告収入だけで月に30万円以上を稼いでいる事例があります[5]。また、65歳で退職後にトラベルブログを始め、年間100万円以上の収入を得ているシニアブロガーも存在します[6]。
アフィリエイトや広告収入を得ることで、趣味を収入源に変えることが可能です。また、ブログ執筆は自分のペースで行えるため、無理なく続けられる副業の一つと言えるでしょう。
手作り作品の販売
手先が器用であれば、手作りの工芸品やアクセサリーを販売するのも良いでしょう。最近では、オンラインマーケットプレイスが充実しており、世界中の顧客に向けて販売することができます。
例えば、Etsyなどのプラットフォームを利用することで、趣味の延長線上で収入を得ることができ、退職後も創作活動を楽しむことができます。実際に、68歳の女性が手作りのキルトをEtsyで販売し、月に50万円以上の収入を得ている事例が報告されています[7]。
また、日本の伝統工芸品を海外に向けて販売し、年間売上1000万円を達成したシニア起業家の例もあります[8]。これらの事例は、シニアの経験や技術が国際的にも評価され、ビジネスチャンスにつながる可能性を示しています。
コンサルティング
長年のキャリアで培った豊富な経験と専門知識を活かせるコンサルティングは、シニアに適した副業の一つです3。
家事代行
家事代行の副業を始めるには、家事代行のマッチングサービスにサポーター登録するのが一般的です5。
シニア層の武器と最適な副業選択
シニア世代の副業には、長年の経験や知識を武器とすることが重要です。例えば、DLRIの報告では、シニア層が持つ専門的なスキルを活かしたビジネスが成功している事例が紹介されています。
株式会社リクルートが実施した「シニアの就業に関する調査」（2023年）によると、60歳以上の就業者の54.7%が「これまでの経験や知識を活かせる仕事」を希望しており、副業においてもこの傾向は同様と考えられます。
また、無理なく続けられる副業を選ぶことで、心身ともに健康で充実した生活を送ることができます。厚生労働省の「高年齢者の雇用状況」（令和4年）によれば、65歳以上の就業者の約7割が「健康維持・体力づくり」を就業の理由として挙げています。
副業は、収入源としてだけでなく、新しい人間関係や社会とのつながりを構築する手段ともなり得ます。内閣府の「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」（令和3年度）では、65歳以上の高齢者の54.1%が「地域や社会の一員として何らかの役割を持ちたい」と回答しており、副業がその役割を果たす可能性があります。
シニアの副業を支援する取り組み
シニアの副業を支援する取り組みも増えています。例えば、シルバー人材センターでは、高齢者の就業機会の拡大と地域社会の活性化を目指し、様々な仕事を紹介しています。2022年度の実績では、全国で約70万人のシニアが就業し、その就業延べ人員は約9,700万人日に達しています。
また、経済産業省が推進する「シニア起業家支援事業」では、55歳以上のシニア起業家に対して、資金面や経営ノウハウの支援を行っています。2022年度には全国で約200件のシニア起業を支援し、その中には年商1億円を超える企業も生まれています。
まとめ
退職後のシニアにとって、副業は新たな活力を得るための素晴らしい手段です。オンライン講師、ブログ執筆、手作り作品の販売など、数多くの選択肢が存在します。重要なのは、自分のペースで楽しみながら続けられることです。
シニア特有の経験や知識を活かした副業を通じて、第2の人生を豊かに彩ることができます。また、副業は単なる収入源にとどまらず、社会参加や健康維持、自己実現の手段としても有効です。
今後、高齢化社会がさらに進展する中で、シニアの副業はますます重要性を増すでしょう。社会全体でシニアの就業を支援し、その豊富な経験と知識を活かせる環境を整えていくことが求められています。
シニアの皆さんには、自身の興味や特技を活かした副業にチャレンジし、充実した第二の人生を送ることをお勧めします。そして、その経験を次世代に伝えていくことで、社会全体の発展にも貢献できるのではないでしょうか。
[参考文献]
[1] 内閣府「高齢社会白書」令和5年版
[2] 総務省「家計調査」2023年
[3] 株式会社マイナビ「ミドルシニア／シニア層のアルバイト調査」2023年
[4] Udemy公式ブログ「Success Stories」2023年
[5] 日本ブログ連盟「シニアブロガー成功事例集」2022年
[6] トラベルブログアワード「シニア部門受賞者インタビュー」2023年
[7] Etsy公式ブログ「Seller Success Stories」2023年
[8] 経済産業省「シニア起業家支援事業成果報告」2022年度
株式会社リクルート「シニアの就業に関する調査」2023年
厚生労働省「高年齢者の雇用状況」令和4年
内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」令和3年度
全国シルバー人材センター事業協会「事業実績報告」2022年度
経済産業省「シニア起業家支援事業報告書」2022年度
Citations:
[1] https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/202312110001.html
[2] https://mynavi-ms.jp/magazine/detail/001307.html
[3] https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2899
[4] https://career-research.mynavi.jp/reserch/20230518_51266/
[5] https://sup.wellness-support.net/column/2023/03/30/oldage-secondjob/
[6] https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=2250
[7] https://career-research.mynavi.jp/column/20231030_63534/
[8] https://at-jinji.jp/blog/46286/
wpai_admin